研究の目的
政策形成過程では多様な価値観や利害を有するアクター間の調整が行われるが、近年、都市・環境政策分野の研究と実務で、ファシリテーターなどアクター間の対話の調整役への注目が高まっている。しかし、法制度や意思決定者との調整や政策プロセスの設計など、調整役に求められる機能はより多岐にわたるものの、対話の場以外において調整役が果たしている機能について検討が不足している。そこで、政策形成過程全体を俯瞰し、実際に調整機能を果たしている人物の特性を帰納的に明らかにする必要がある。本研究は、都市・環境政策分野を対象に「実践のプロファイリング(Profiles of Practitioners)」手法を試行適用し、政策形成過程における「調整役」機能を同定することで、政策研究における新たなアクターの位置づけを行うとともに、実践のプロファイリング手法という新たな政策形成過程分析の方法論を開発する。