具体的なストーリーを引き出す
実践者のプロファイルのインタビューは、普通の会話に似ているところもあれば異なるところもあります。多くの日常会話のスキルは役に立ちます。例えば、あなたが、ある人に起こった出来事を友人から聞いたらもっと聞きたくなったというような会話のスキルです。 ここでは、たくさん話してもらうためのいくつかの方法を紹介します。
- 自分自身が興味を持ちましょう。インタビュー回答者がどのように取り組んだかについて興味を表わしましょう。インタビュー回答者は自然と興味を感じて反応してくれるでしょう。
- 詳細の調査や会話の活性化に質問を活用しましょう。例えば、「例をもらえませんか。」「もう少し詳細を教えてもらえませんか。」「Xについてもっと話してもらえませんか。」
- 「そうですか。」「わかります。」などの言葉を時々発して話し手をけしかけましょう。それらは、興味を示していることにもなります。
- 身振りや顔の表情を使って積極的に関心を示しましょう。
- 沈黙してもすぐに別の質問をしてはいけません。インタビュー回答者がもう少し話すことがあるかもしれないので待ちましょう。
一方で、プロファイルのインタビューは、通常の会話と異なる部分もあります。あなたはプロファイルを「引き出し」たり、あなたが学習したい何かのストーリーの「誕生」を手助けしたりします。ここでは、その他に考えなければならないことを紹介します。
- インタビュー回答者である話し手と信頼関係を構築しましょう。例えば、話し手と共通の関心事について「雑談」したり、話し手の職場にあるものに興味を示したりします。
- あなた自身のことを話す時間ではありませんし、話し手が言った事に反対だったからといって議論する時間でもありません。話し手に賛成であろうがなかろうが、あなたは話し手の見解や説明を収集するために訪問しているのであって、評価をしに行っているわけではないことを覚えておきましょう。話し手の見解が好きでなくても、話し手に感謝しましょう。あなたの限界まで、よい質問をして、よく聞いて、よく学んでください。
- 話し手に助けてもらうとよいでしょう。話し手に任せっぱなしにせずに、あなたの関心事を言いましょう。
- 一回に一つの短い質問をしましょう。2つの質問をしてしまうと、多くの場合、2つめには回答してもらえますが、一つ目は忘れられがちです。また、話し手はあなたが何を知りたいのかが分からなくなるでしょう。
- 慎重に扱うべき質問も恐れずにしましょう。多くの場合、話し手は回答を断るでしょう。適切で、「騒々しくなく」、有益な方法で個人的な質問を質問することは可能でしょう。
- 詳細を調べるには「そのまま繰り返し」て質問するとよいでしょう。もし、「すべては敬意の問題です。」と聞いたら、「敬意ですか?」と訊きましょう。しかし、「すべては敬意の問題です。」と聞いて、真面目にうなずいて別の質問に移ったら重要なことを得られません。「すべては敬意の問題です。」は、一体全体、何だったのでしょう。
- 重要かつ短いコメントを引き出しましょう。「もう少し・・について話してもらえませんか。」「先ほど・・・とおっしゃいました。そして、たった今・・・とおっしゃっています。私はどうして・・・なのか混乱しています。」と訊きましょう。
- もしあなたが主張する時、個人に対して行ってはいけません(たとえば「私はあなたが今言ったことが信じられません。」)。正しくは、「これについて別のアプローチをとる人もいると思いますが、そうした人は何が不足していますか。」と言ってみましょう。
- 話し手があなたと、どのような事業やプロジェクトについて話してくれる予定で、それらがどのように終わったのかを訊くことからインタビューを開始しましょう。ストーリーの「行き先」を知ることで、インタビューの時間内で、ストーリーの結末を得て省察するといった時間配分をやりやすくします。
- あなたが作成しているプロファイルの狙いを絶対に見失ってはいけません。あなたは、インタビュー回答者である話し手に助けてもらわなければなりません(ダブル・ヴィジョン:「実務のストーリーから課題を解明する」参照)。あなたは話し手に対して、ずれた話題から戻ってきてもらったり、ストーリーをより濃くしたり、より手間をかけてもらったり、より詳細にしてもらうために質問をして介入する必要があります(介入:「共通の課題への対処」参照)。
- インタビューを管理すると、バランスを失います。あなたは出しゃばってもいけませんし(会話が停まる度に質問をする、自分のことを話す)、話し手に気を使いすぎてもいけません(話し手が詳細を掘り下げることなく、好きなように話す)。どちらかに極端になると、インタビューは脱線するでしょう。
最後に、個人的な質問をする時、私たちは(通常無意識に)文化的規範を内在しています。それらは、文化によって異なるでしょう。しかし、あなたにとって、これらの文化的規範が何かを考えることは有益でしょう。たとえ、質問することが憚られるような内容であったとしても、インタビューは相手の領域に踏み込んでいく活動であることを覚えておくとよいでしょう。インタビュー回答者である話し手のストーリーを抽出するのがあなたの仕事です。多くの人は喜んであなたの活動を手助けしてくれるでしょう。