介入:共通の課題への対処
インタビューの聞き手として、私たちはインタビューをコントロールしすぎたくないですし、方向を示したくないですが、一方で、インタビューをどこにでも行かせるようなこともしたくありません。
インタビューをマネジメントすることはパートナーとダンスするようなものです。もしあなたがカップルのダンスのリーダーであれば、同時に多くのことをやらなくてはいけません。あなたはリードしますし、パートナーに反応しないといけません。同じフロアにいる他のカップルがどこでダンスしているかを知らなければなりません。あなたのパートナーのダンスを光り輝くようにリードしたいでしょう。そして、あなたと一緒の時間を楽しんでもらうためにパートナーと会話したいでしょう。
インタビューでは、あなたはダンスのリーダーのようなものです。あなたは、インタビューがどこで終わるのか、そこまでどう導くかを理解する必要があります。さらに、あなたはインタビューの回答者が言うことに反応しなければなりません。あなたはインタビューの回答者との会話の中で自分の関心事について話さなければなりません。また、時間を守る必要があります。インタビュー時間が40分だとすると、省察の時間を踏まえてストーリーを10分前に終わらせないといけません。インタビューの間、収集したい情報が得られているか、記録して確認しなければなりません。インタビューが順調に進んでいるか。ストーリーの中に、役割、複雑性、流れなどが含まれているか。もしそうでなければ、介入しなければなりません。
インタビューの舵取り(もし必要であれば、助け舟)は肌で学ぶスキルです。しかし、インタビューにおける共通の課題に対応するために、いくつかのよい質問戦略があります。いつもうまくいくわけではありませんが、こうした戦略は成功可能性を高めるでしょう。
課題:インタビューの回答者が実務上のストーリーと関係がない外伝を話し始めた。
- 無関係な話に長い時間を費やすのではなく、実務上のストーリーに時間を費やす必要があります。「無関係な」話が、あなたの驚くことや重要なことでないか十分に聞いて確認しましょう。そうでなければ介入してください。
- 「話を戻して・・・」「そして、次にどうなさいましたか。」「そして、どうしましたか。」「それはあなたの取り組みにどのような意味があったのですか」と言いましょう。
- もし、そうした試みが失敗に終わった場合、もう少し直接的に言う必要があります。「時間内にこのストーリーの最後までたどり着かないのではと危惧しています。その後・・・は、どうなりましたか。」と訊いてみましょう。
課題:インタビューの回答者が、自分が受け身であったことがらを話し始めた。直接の担当者がいないといったことは、たまにあります。あるいは、すべて「私達」が行ったことで、インタビューの回答者である「私」の話がない。
「Xでのあなたの役割に興味があります。何をなさいましたか。」- 「「私達」とはどなたですか。」「「私達」は誰のことですか。」「利害関係者はどなたですか。」と訊いて明確にしましょう。
課題:インタビュー回答者が、自分の取り組みから他人のものへひっきりなしにズレてしまう。
- 「あなた自身は何を行いましたか。」といった質問をして、引き戻しましょう。
- 「あなたは彼らの取り組みにご関心があるようですね。あなたは彼らが何をしたかを理解しようとなさっています。」と気付かせましょう。
課題:インタビュー回答者が一般論、抽象的なアイデア、幅広いプログラムの構成要素を話すので、ストーリーに特徴や取り組みがほとんどなくなってしまいます。
- 「具体例をいただけますか。」と訊いてみましょう。
- インタビューの回答者はあなたが何を得たいのかを十分に理解していない可能性があります。もう一度、説明してみましょう。彼らにどのように取り組んだのかに興味があると伝えましょう。「・・・に、どのように運営しましたか。」、「・・・に、どのように反応しましたか。」、「・・・に、どのように対処しましたか。」と訊いてみましょう。
- 「もし私が壁にとまったハエだったら、何を見ているかを想像しています。」といったイメージを暗示させる質問をしましょう。
- 「あなたに説明していただくことになっていたストーリーを話していただけませんか。」というように、具体のストーリーを訊いてみましょう。
- あなたが広い範囲や抽象的なレベルで質問をしている可能性があります。例えば、全体として、とても複雑なプログラムについて質問した場合、一般的なことしか得られないでしょうが、複雑であっても、一つのグループや一つの地区について質問すれば、豊富なストーリーが得られるでしょう。
課題:インタビュー回答者が、自分の取り組みを単純にして話したり、実際よりも複雑でなく、政治的でないようなストーリーにしたり、起こった出来事と誰が起こしたかという関係を隠したりします。
- 「あなたは彼らの言ったことを信じましたか。」「それらはツジツマが合っていると思いますか。」と直接的に質問してみましょう。
- 刺激する必要はほとんどありません。「つまり、あなたが行ったすべては、・・・のようですが。」(例えば、技術アシスタントを提供した、会議に出席して議論をリードした)「すべてとても単純に聞こえます。すべてが所定の場所に落ち着いたわけですが、あなたは何もしなくてよかったのですか。」インタビュー回答者が単純化しすぎる場合は、複雑な取り組みの描写を助けることがあります。
- より深堀する方法として「議論」を持ちかけてみましょう。「どのように・・・と意見した人の対応をしましたか。」あなたは、あなたの視点で議論するのではなく、必要に応じて、インタビュー回答者を引っ張り出す技術を活用していることを覚えておきましょう。
課題:インタビュー回答者が、身振り、顔の表情、指し示すなどでアイデアを表現し、アイデアを発話しない。
- インタビュー回答者が示した名前や取り組みを言葉で言ってみましょう。「彼らが怒っていたという意味ですか。」「彼は頭を抱えて座っていたとうことですか。」こうすることで、インタビュー回答者があなたの描写に賛成したり、明確にする機会を得ることになります。どちらにしても、テープおこしやプロファイルでは、言葉が必要になります。
- 「それらを録音できてないので、発話していただけませんか。」と直接的に言いましょう。